「微笑みの国タイ
笑顔あふれる職場作りのお手伝い」
「より多くの人の役に立つために…
タイでの人材紹介業を立ち上げる」
1993年、小田原氏がタイを訪れた時、日本人求人状況は現在と大きく異なっていた。日系企業において、現地採用求人などは、ほとんどない状況であった。そのため、日本人がタイで生活の糧を得るためには、起業するしかない状況だったという。
ニーズとして考えられたのは、日本食レストラン、または日本から来る駐在員を現地でサポートする仕事が主であった。そこで、小田原氏は駐在員の住居斡旋と社員を紹介する会社を設立した。2つの柱の仕事を半年から一年進めていくうちに、人材紹介業の方が、より多くの人たちの役に立てるということに気付いたという。
結局、その一年後には人材紹介専門の会社に事業内容をシフトしていたという。
設立当初は、日本から進出してきた大手人材会社の壁が厚く、なかなか顧客獲得につながらなかった。そこで、新しい求人依頼が入ると、それがどれだけ遠く離れた場所であってもお客様に直接会うために、必ずその会社を訪ね、さらに一緒に食事をするなどしてヒアリングを行った。そのようにして、会社の社風、お客様の性格を見極め、求められる人物像を確認することにより、最適な人材を紹介するように心がけたと小田原氏は語る。
設立時から今まで、紙面の広告を一切打たずに営業を続けている同社。それは、一元のお客様よりも、口コミで紹介されてきたお客様を大事にし、「一件ずつ」確実に求人募集を決めていくためだという。
また、お客様が大手人材紹介会社で適任者を見つけることができず、困ったあげく依頼してくるケースもあるそうだ。このように適当な人材を見つけることが難しい求人に対しても、誠意を尽くして対応し、結果につなげることで、信用を積み重ねてきたのだ。
タイの人材不足は、当時も今も変わらないが、最初の数年は今よりもはるかに少人数でのスタッフで運営を行っていたという。バンコクから車で一時間ほど離れた町にも2店舗の支店を置き、平日はバンコク、土日はそちらに出向き、登録に来る求職者と面接を行った。
今振り返ると、年始とタイ正月以外は休み無しで働き通しの日々であったという。24時間寝ても覚めても、ずっと会社の事を考える生活が続いた。仕事のために費やした時間量では絶対に他に負けないという自負があると語ってくれた。
そんな小田原氏を始めとするスタッフ達の努力が実り、現在では、業界最大手の会社になり、昨年、一昨年にはタイ国労働省から135社業務登録している人材紹介会社の中で、最優秀の表彰を受けている。
ほとんどの大学に就職課がある日本とは異なり、タイの大学には就職課と言うものが現在でも無い。また、小田原氏が会社を設立した15年前には、新卒者の定期採用もない状態であった。その頃、小田原氏は、ある大手企業の人事部長からの依頼で、新卒者の定期採用を始める手伝いをし、成功を収めた。それ以来、お客様が採用計画を立てる際には、中途半端な経験者の中途採用よりも、聡明でポテンシャルの高い新卒者を定期採用することを勧めるようになったという。
会社のカラーに順応しやすく、吸収が早い、優秀な新卒者の紹介に特に力を入れている同社。現在、タイにある主要な大学との太いパイプは業界一だという。
「私達がタイでの大卒新卒者の定期採用の先鞭をつけた」と自負していると小田原氏。
「15年前、紹介した会社で今も働く人からは、今でも感謝の声が」
創業より15年、最大手となった現在でも、当事と変わらず、一人一人に対し、日本人スタッフが登録時に面接を行い、細かなチェックを行っている。中でも多いのが、面接で受かるための取り繕った答えを準備する求職者だという。そのような求職者に対しても細やかなアドバイスを行い、企業のニーズとマッチングさせた紹介を行っている。
紹介した人材が、入社後、いかに会社で力を発揮できるかという点を考慮し、紹介することを心がけている。その、「15年間の努力の積み重ね」が何よりの強みになっているとのことだ。
今まで紹介した人材で10年、15年間、同じ会社で働いている人も多いが、再会すると、いまだに「良い仕事を紹介してくれた」とお礼を言われることも多いという。
彼らのような存在が私達の励みであり、同時に強みでもあると小田原氏は話してくれた。
「職を得る事は、人生の大きな分岐点です。私達に関わる全ての人に適所を紹介し、採用された人はもちろん、採用した会社も幸せになれる、それを実現できる人材紹介会社にしたいと思います」と理想とする形を語ってくれた。
「微笑みの国」のキャッチフレーズで紹介される国、タイ。女性100%の職場だという小田原氏の会社にも、女性スタッフの笑顔があふれているという。
「タイ人は基本的に素直な性格のため、指示の仕方を間違わない限り、とてもよく仕事をしてくれます。問題に直面した時も、決して暗くなることがない彼女たちの笑顔に救われています」と小田原氏も微笑む。
「人々が懸命に働くことで会社に貢献し、そして社内がいつも笑顔で満ちているような環境を作るお手伝いをこれからもしていきたいと思います」と、最後に今後の抱負を熱く語ってくれた。
■プロフィール紹介■
小田原 靖
パーソネルコンサルタントマンパワータイランド株式会社
代表取締役社長1969年3月生まれ。福岡県福岡市出身
19歳で渡米、オレゴン州の大学を卒業後渡タイ、
1994年パーソネルコンサルタント社を設立。