天然資源、豊富な労働力
可能性を秘めた国、ミャンマー
安価な労働力が
進出のポイント
豊富な天然資源と優れた人的資源をもつ国、ミャンマー。地理的にも、東西を結ぶ交通の要衝として重要な位置にある。しかし、現実には世界最貧国(LLDC)のひとつに数えられ、ひとりあたりGDPは216ドル(2006 年)と、日本の150分の1、タイの10 分の1にしか過ぎない。社会インフラも未整備で外国からの投資は399 件、138.2 億ドル(1989 年~2006 年3月)と他のASEAN諸国に比べ、断然少ない。
これは、ネ・ウィン時代(1962 年~ 1988 年)に作り上げられた、非効率な国営企業体制と巨額な対外債務が要因と言われているが、欧米による経済制裁や世界銀行、アジア開発銀行(ADB)の融資がなく、国際的に孤立していることとも無関係ではない。
そんな中、ミャンマーへ進出し、元気に活動している日系企業も少なからず存在する。ミャンマー政府によれば、ミャンマーの日系企業の数は、2007年12 月31日時点までで、計163 社(現地法人90 社、支店66 社、連絡事務所7 社)となっている。
海外からミャンマーに進出する企業にとってのメリットとは何だろうか。まず、安価な労働力を確保できるという点があげられる。ミャンマーの人件費は近隣諸国に比べ、大変低く抑えられており、民間企業は通常、雇用者と被雇用者間の相互協定によって定められている。90 年代以降、コスト削減を目的に、こぞって中国へ進出した日系企業は、近年、中国国内での人件費上昇や新労働契約法の施行など投資環境の変化を受け、戦略の見直しを迫られているのが実態だろう。そんな中で、注目されているのがミャンマーだ。
ミャンマー国民は勤勉で高い技能を持ち、学習能力にも優れている。また、識字率は91.7%と非常に高い。そのため強力な労働力を容易に得ることができるのだ。