「東洋のパリ」から近代的なニュータウンへ
変貌するベトナムの現状
21 世紀になってから、ベトナムの経済成長は著しく、一般の国民の暮らしも大きく変化してきた。ベトナの経済政策では市場開放を推し進めた「ドイモイ政策」が有名だが、この流れが外国資本の参入にもつながった2000 年代は年平均経済成長率7.26%と、依然として大きな伸びを続けているのが特徴だ。その中では、特に大都市圏急速な変化が話題になることも多い。ここでは、現在のベトナムがどのような状況にあるのかを考えてみよう。
市場開放が加速するベトナムの新しい姿
現在のベトナムの経済状況を見てみると、市場経済化と国際経済とのバランスを取りつつ、好調な発展を続けている。いまだ安い人件費も魅力で、工場進出などの動きも世界中の企業から続いている。これにより、労働者の安定した雇用機会が増えており、従来から比較すると一般市民の収入も向上している。
もちろん、貧困問題は大きな課題として残っているが、ハノイ市やホーチミン市などの大都市圏では、富裕層も急速に増加中だ。2010 年のデータによれば、ベトナムでの富裕層の増加率は、前年比で30%アップという数値が挙げられている。こうした購買力を持った人々を狙って、ショッピングセンターなどを新設する動きも増えてきた。事実、小売り関係の売上高の推移を見ても、この10年で急激な伸びを示していることがわかる。
同時に急速な経済拡大によって、インフレが進行する懸念が持たれているが、これについては政府の金融引き締め政策によって抑えようとしているのが現状だ。経済アナリストなどによれば、ベトナム経済が順調に発展し続けられるかどうかは、インフレ抑制が大きなポイントになるという。
ベトナムがWTO に加盟したのは2007 年で、これにより外資の小売り・流通業への進出が段階的に解放されてきた。現状では輸出入権を持つ、外資企業の100%現地法人が設立できる。さらに販売権を持つ小売り・流通業についても、2009 年からは外資100%の出資が可能になった。完全自由化ではなく多店舗展開での規制などはあるものの、進出のチャンスが大いに広がったといえる。