いま注目のエリア 発展続くバングラデシュの首都ダッカ
アジア諸国の中でも、今後急速な発展が予想される地域が、ミャンマーやバングラデシュなど、これまで経済的に立ち後れてきたといわれる国々だ。民主化により経済改革が進むミャンマーに続き、次の成長株として期待されているのがバングラデシュ。その中でも、東京に匹敵する人口規模の首都ダッカでは、日系企業はもちろんヨーロッパ系の企業も盛んに投資を行っている。今回は、ダッカを中心にしながら、マーケットの特徴や進出時の問題点などを考えてみることにしよう。
成長を遂げつつあるバングラデシュ
バングラデシュという国について、中国やインド、ベトナムなどと比較すると、あまり知識がないという人も多いかもしれない。これまで経済的に成長が遅れていたこともあり、日本企業の進出先として調査の対象にはなるものの、なかなか本格的な行動を起こすには至らなかった事例もあるようだ。そこでまず最初に、バングラデシュという国の概況について紹介していくことにしよう。
日本ではバングラデシュというと、国連の定義による「後発開発途上国」のイメージが強く、経済的に困難な状況にある国と捉えられることが多い。実際、一人あたりのGDP(名目)を見ても、2010 年の数値で642 米ルとされ、905 米ドルがボーダーとなる後発開発途上国の定義を下回っている。
しかし、全体的には堅調な経済成長を続けており、同じ2010 年の数値で実質GDP 成長率は6.7%となっている。一人あたりGDPにしても、2007 年には487 米ドル、2008 年には554 米ドルだったことを考えると、将来的なさらなる伸びが期待できる。
ただ、現状では縫製品輸出や海外にいるバングラデシュ労働者からの送金の比重が高いとされ、国内での工業基盤の整備といった課題も多い。縫製品輸出では、日本への衣料品という形での輸出も増えており、ここ数年でニット製品などの輸出量も急拡大している。欧州経済危機の余波で欧米への輸出が伸び悩む中、日本・韓国・オーストラリア・南米諸国などを重点国と位置づけ、輸出拡大を図っている。
財政的な観点でいうと、バングラデシュは慢性的な財政赤字に陥っている。赤字補填については、外国からの経済援助や国内の銀行からの借入に頼っているといわれ、本質的な構造転換が求められる。政府の徴税能力不足や、国有企業の中でも非効率な部門への赤字補填など、解決すべき課題が多いといわれる。