ビジネスシティとしての認知が進むダッカの潜在力から目が離せない
進出の形態に合わせた綿密な調査を
これまで紹介してきたように、ダッカでのビジネスチャンスは日本でイメージするよりも大きいといえる。しかし、現地ならではの問題があることも、きちんと認識しておかなければならない。
政府の統治能力不足もあって、投資に関する規制が煩雑に改正されたり、現場レベルでうまく運用されないといった問題が発生することもある。このため、工場進出なのかマーケットで勝負するのか、といった局面の違いによっても注意点が異なってくる。「最後は人と人のコミュニケーション」という原則はここでも有効だが、汚職との一線を画す姿勢も大切だ。
ダッカやチッタゴンといった大都市圏の輸出加工区(EPZ)では、すでに空きがない状況ともいわれ、新たな方策が必要となっていることは紹介した通りだ。そのため、バングラデシュ政府もEPZ から経済特区(SEZ)の形態へと、工業団地開発のやり方を移行することを決定している。これにより、従来EPZ に与えられてきた法人税免除などのインセンティブは、段階的に縮小されている。 2012 年からSEZ を建設するとされているが、計画は少し遅れているようだ。国内に7つある管区ごとに1 ヶ所のSEZ が建設される予定で、これから工場進出を考える場合には制度などを十分に調査する必要がある。
投資に関する情報は常に最新のものを
バングラデシュにおいて外資関連の案件を扱うのは、バングラデシュ投資庁(BOI)およびバングラデシュ輸出加工区庁(BEPZA)だ。
BOI はバングラデシュへ投資する際に、外資がワンストップで手続きなどを行えるようにするための機関だ。実質的には、EPZ外への投資に関する担当だと考えれば良い。しかし実際には、事務処理能力が案件に対して十分とはいえず、時間がかかるといった問題点も指摘されている。もう一方のBEPZAは、国内8 ヶ所のEPZ を所管しており、誘致から承認などの処理を担当している。
前述のように、SEZ の新規建設については当面は7 ヶ所だが、計画では20 ヶ所の建設が予定されている。スケジュールとしては、2021 年までに建設するとされる。外資導入のインセンティブなどは未定な部分が多いが、これを管轄するのがバングラデシュ経済特区庁(BEZA)だ。
ただし、政策的な継続性がどれだけ保たれるのかについては、現地での最新の情報を常に入手するように心がけたい。