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2010年2月22日 【ベトナム】
モラルは国民性?!

Brain Works Asia co.,Ltd
ディレクター 中嶋 和雄


先日、近所のあるマンションで引越し作業がされていたときの出来事。
エレベーターを待つ間に少し様子を見ていると、移動のために置いてある
ソファーに関係のない住人(子供ではない)が座り込んで歓談したり、
寝転がったりしているではないか。

一昨年、弊社のオフィスが移転したときにも似たような光景を目にした。
引越しの作業員ですら、お客様の備品を勝手に使ったり、お客様が
保管している未開封の飲料水を無断で開けて飲んだりするのだ。

いずれも、日本では考えられない話である。


ベトナムではこうしたご都合主義的な”反モラル”行為が社会で
許容されているのが事実。
職場でも、似たような行為が平気で行われている。


しかし、徐々にベトナム人の意識にも変化が起こっており、
こうした行為に嫌悪感を抱く ベトナム人も少なからず存在している。


ベトナム現地の工場などでは、作業着を着て粉塵まみれになり、
古い機械をガシャガシャと動かしている人を未だによく見かける。
一方、オフィス勤務する人に関しても、サンダルで会社に来る、
靴下をはかない、平気で床にゴミを捨てるなど挙げ始めれば
きりがない。

ベトナム人は勤勉で真面目、手先も器用で覚えるのが早いという
評価は1つの側面であり、間違ってはいない。
ただ、モラルについてはまだ無頓着である。
したがって、社会全体にルーズさを感じてしまうのが先進国の
人間の感覚だろう。

基本的なモラルや習慣の部分では、日本人が思う以上に見直しを
させないといけないのだ。

さて、自分自身がどのようにモラルを身に付けてきたかを振り返って
みると、 おそらく、小さい頃に親や先生から当たり前の注意を受け
「いつの間にか身に付いていた」
というのが答えで、恐らく、大方の人が同じであろう。

組織に属すると、一番はじめに言われるのが「人様に迷惑をかけるな」
「人前でみっともないことをするな」という言葉ではないだろうか。
日本人にとっては”耳たこ”になってしまった当たり前の言葉でも、
小さい頃から どこでも誰からでも言われる社会は、世界中を
見渡してもそう多くない。

実際、海外で古きよき日本人が賞賛されていたのも道徳やモラル
といった精神面である。 今でも顧客から「日本人のようなモラルを
定着させたいから 教育してほしい」という相談を受ける。

一方、翻って日本の姿を見ると、海外の人から見れば「大切で
守るべきもの」 として評価されているモラルや道徳が、最近、
軽んじられつつあると感じる。

先日、バンクーバーオリンピックでもスノーボードの男子選手が
公式行事の 服装を着崩して批判を受けるという一連の騒動があった。
賛否両論あったが、世代を問わず厳しい意見が噴出していたのは
無理もないだろう。 それだけを見れば、まだまだ日本人が大切に
している精神の1つで あることは間違いない。

ただし、本当に問われているのは、家族や学校、職場など、
身近なところで 声に出して注意をしているのかということ。
頭ではわかっていても、結局、身の回りの出来事には声を
あげていないのが実態ではないか。

BWGではベトナムを中心にアジアで従業員や経営幹部のための
企業内研修を展開していて、自らが現地で会社を設立し、人材育成
サービスの 中でを実践したノウハウを同時に積み上げている。

1つ言えることは、たとえ知識や経験が乏しくても、モラルなどを
身につけていない人でも、 粘り強くきちんと教え込むことで、
徐々にではあるが確実に身に付いていく。
国にかかわらず、教わってもいないことが急に身に付くような「奇跡」は
めったに起きない。

数年前、ベトナムで従業員教育のビジネスを始める際に代表の近藤が
ベトナム人経営者から 「日本の教育を浸透させるのは砂漠に水を
撒く行為に 等しいが、諦めずにやってほしい」 と激励された。
それを励みに、地道に、かつ着実に継続しており、最近ようやく多くの
ベトナム人から 支持されるようになってきた。

これから本当のビジネスを創っていくベトナムのような国では
「ないものねだり」するのではなく 自らが信じるところを首尾一貫して
伝えていき、それを実践していくことが大切だと言える。

 

 

 
 


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