日本企業(モノづくり編)紹介
ジット株式会社

 


リサイクルインクカートリッジで 年間約500トンものCO2を削減


 
 日本全国から使用済みインクカートリッジを回収

 最近ではインクジェットプリンタの普及により、家庭でも手軽に高精細な写真印刷が可能となった。しかし一方で、1年間に処分されるインクカートリッジの数は日本だけでも約1億3000万個にもおよぶという。その使用済み純正インクカートリッジを回収し、リサイクルインクとして提供しているのがジット株式会社だ。
 「弊社では年間に1200万~1500万個の使用済みインクカートリッジを回収・リサイクルしています。システムとしては、クリーニングやインクの充填などをすべて自社内で一貫して行える体制を構築。品質の高さはもちろん、純正インクカートリッジと比べて3~4割ほど低価格のため、お客様からもご好評いただいております」と語るのは、代表取締役の石坂正人氏。その活動は地球環境の保護にも役立っており、ゴミとして出されるインクカートリッジが減ることで2009年には年間約500トンものCO2削減効果を生んだという。
 使用済みインクカートリッジの回収は、北海道から沖縄まで日本全国のホームセンターや家電量販店、学校や公共施設など約5000ヶ所に設置した回収ボックスで実施。また、直接ジットの回収センターに送付できるほか、無料のインクカートリッジ回収プログラムに参加すると専用の着払い伝票で送ることも可能だ。
 石坂氏は「山梨県では『ゴミをなくす』という弊社の取り組みに全面的なご協力をいただき、県内にあるほぼすべての市役所や町役場、図書館、小中学校などに回収ボックスを設置しています。今後はJRの各駅に回収ボックスを置く予定もあるので、より多くの資源を再利用できるでしょう」と語る。


 お客様の声を形にする、熱い想いと高度な技術力

 さらにジットでは、オリジナル商品として大容量インクカートリッジ「たっぷりント」の製造・販売も行っている。これは、カートリッジ本体にインク残量が一目で分かるスケルトン構造を採用すると同時に、従来と比べて2倍のインク容量を実現したものだ。
 「弊社では年末年始を除き、土日祝日も相談窓口を設置し、お客様からのご意見・ご要望に耳を傾けています。その中に『中身が見えない』『インク容量が少ない』といった声を多くいただきました。弊社ではメーカーの使用済みインクカートリッジを再利用しているので、当然ながら容器を透明にしたり、純正のキャパシティ以上にインクを入れることができません。しかし、なんとかしてお客様のご要望を叶えられないかと開発を重ね、3年半かけて完成させたのが大容量インクカートリッジ“たっぷりント”です」と、石坂氏は開発経緯について語ってくれた。このように「ユーザーの要望をなんとか実現しよう」という熱い想い、加えてそれを具現化する高度な技術力が、ジットの持つ大きな強みだといえるだろう。
 ジットでは今後、リサイクルインクカートリッジを中心に国内でのシェア拡大を目指す一方、オリジナル商品の「たっぷりント」で海外進出を図るという。地球環境の保護が注目されている昨今、同社の取り組みはさらなる需要拡大が見込める。近い将来、必ず世界規模での大きな飛躍を見せてくれるはずだ。




【企業紹介】
■創業:1991年7月
■代表:代表取締役 石坂正人
■従業員数:215名
■本社住所:山梨県南アルプス市和泉984-1
■TEL:055-280-8105
■URL:http://www.jit-c.co.jp/
■事業内容:プリンター用インクカートリッジの製造、インクリサイクル製造、
         レーザープリンター用トナーカートリッジのリサイクル製造、販売、
         特殊プリンターの開発、製造、特殊インクの開発、製造、
         OAサプライ商品の企画販売、特殊プリンターの企画販売、
         量販店向け商品企画販売、特殊プリンターの企画販売
※詳しい情報は、株式会社カナリア書房の『ニッポンをリードする企業たち チャレンジングカンパニー モノづくり編』
に掲載されています。



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