アジアブログ

 

 

2009年5月27日
「ベトナムの中部高原は、日本の40年前の農村とそっくり」

ブレインワークスグループ CEO 
近藤 昇


 先週末、農業ビジネスで考えることがあり、ベトナムの中部地方・コントン省に視察に行ってきた。ベトナム人ビジネスパートナーのフィ氏のアテンドのおかげで、非常に有意義な視察旅行となった。


  フィ氏の知人である人民委員会のトップやコントン省の投資局の方々の温かいおもてなしを受けた。
彼らは皆、口を揃えて言う。


  「コントン省を日本の事業家や投資家にPRしたい」


  この地方の魅力は年間通して平均気温16から17度前後の温暖な気候。多くの日本人にとって意外な事実だと思う。日本的に言えば、日本の軽井沢といったところか。ベトナムで避暑地として有名なダラット地方と似た雰囲気もある。広大な森林と農地を活用した農業、自然環境を生かした観光産業を強化することが彼らの最大のミッションだ。








 
 
 


 
色々と話を聞くと、過去何回も日本の関係者が視察に訪れたり、実際に農業ビジネスをテスト的に始めたこともあったという。


  ここ最近、アジアにおける日本人の印象はあまりよくない。
視察にはよく来るが、なかなか実行に移そうとしない日本人という悪評を耳にしたことがある人も多いはずだ。


  ところが、コントン省ではそんな感じはなかった。いわゆる1次産業目当てで動き出す日本人はまだまだ少ないともいえるし、このテーマが長い時間と広大な発想と構想力を必要とするだけに、悠然とパートナーが現れるのを待っている。そんな印象を受けた。あわてず。あせらず。そんなぎらつかない雰囲気を彼らのにこやかな笑顔からも感じることができた。


  ドライバーも一緒に豪華な昼食をご馳走になった。やはり、自然の中で食すると味も格別だ。






 
    



 観光にも力を入れるということで、開発中の別荘地にも案内していただいた。極めつけは、観光名所としての秘密兵器として考えている秘境の滝へ案内してもらったことだ。眺めるだけかと思えば、当然とばかり、滝つぼ目当てに山くだりが始まった。体力がある私でも結構疲れたが、獣道のようなところを下ってたどり着いた滝つぼは確かに魅力的だった。案内役の村長さんはウィットに富んでいる。ここをヌードで泳ぐ場所に開放したい、という計画まで披露していただいた。





 
   



 また、ご多分に漏れず、政府の認可待ちのゴルフ場開発計画もあり、リゾート地としての計画もいくつも聞いた。まだまだ、海のものとも山のものともわからないような話もあるが、魅力的な場所であることは間違いない。


  ところで、今回の視察の主目的は、農業ビジネスの可能性を確かめることであったわけだが、結論からいうと、その成果は十分に得られたと思う。


  翌日半日かけて市内近郊の農家を訪問させていただいた。私が40年前に育った環境とそっくりなことに郷愁を覚えた。農作業の風景、栽培されている野菜の姿・形。近代農業のような美しく整えられた野菜の姿ではなく、そこには自然の野菜が何種類も栽培されていた。思いつく野菜は全てここで見つけた。








 
 
 



 農家の人にも何人かインタビューをさせてもらった。色々と有意義な話をお聞きしたが、なかでも個人的に妙に嬉しい話があった。


  ”ここの野菜は、自分たちが食べるための野菜なので、農薬は一切使わないんですよ”と。








 
    



 狭い一角の野菜畑を指差す日焼けで真っ黒な農夫の方。日本人もベトナム人も考えることは一緒なんだと深く納得した次第である。


  日本ではここ2,3年で急速に農業問題が注目され出した。この一件でも、メディアや一部の専門家に振り回されすぎという感はある。にわか評論家やにわかビジネス参入派など、本質的な問題がわかっていると思えない。今後、機会があれば、書籍などで紹介しようとは思うが、農業産業の根本的な問題は、結局は、誰が生産物を作るかだと思う。いくら日本が自給率100%の青写真を描いたところで、その実現に向かおうとしても、現実は不可能に近いだろう。


  働き手がいないから日本は困っているのだから・・・。言うまでもなく、農業は完全機械化など不可能な仕事のひとつである。どんな野菜が食べたいかという消費者目線も大事だが、だれがそんな野菜を作るのかという生産者目線がもっと重要だと思う。そこに、アジアとの連携の必要性があると、私は思っている。


  今後のブログでは、私なりのアジア農業ビジネスの可能性についても紹介したいと思う。









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