アジアブログ

 

 

2009年5月21日
「アジア新興国の風景から見た景気循環説の真意」

ブレインワークスグループ CEO 
近藤 昇


 世界は、大不況の嵐だ。


  アメリカ、ヨーロッパ、日本など、先進国は、皆大打撃を受けている。そして、アジアの各国でも連鎖的に大きな影響が出ている。アメリカの好景気による消費に引っ張られてきたタイやベトナムの製造業も、軒並み生産の大幅ダウン。それに連れて、レイオフを実施する企業も増えつつある。


  これだけ、悲観的なニュースやビジネスの現場でのネガティブな会話が続くと、さすがに、実体経済よりも心理的に更にマイナスに振れるのではと心配になる。


  だからこそ、私は、もう少し長い目で見ようと言いたい。もちろん、いくら10年先を見据えるといっても、目の前を乗り切らなければ、明日はない。当然だろう。だが、目の前を乗り切っても、先行き真っ暗では、これまた悲劇だ。


  こういう大不況の時に、必ず繰り返されるフレーズがある。


  『景気は循環する。良い時もあれば悪い時もある』


  経済の専門家ではないので、景気の先行きを語るには、私自身は心許ないところはある。しかし、循環で考えるこの見方の方が私の性分に合っている。


 実際、アジアの新興国ベトナムなどを見ていると、いまでも、元気さがひしひしと伝わってくる。一部、建設工事がストップしたような建物もなくはないが、私が見る限り、これからいよいよ大発展という国の勢いはさすがに違う。それと、金融の影響が少ない国では、衝撃的な被害は少ないともいえるだろう。


  少し、具体的な事例を紹介しよう。ベトナムは、今、1人当たりのGDPは800$少しである。(もちろん、こういう目安は、当該の国のGDPの指標そのものの信憑性にも左右されるが・・・ここでは、それはひとまずおいておこう)


  一説によると、外国からの投資の観点から見れば、1000$を越える頃に、小売業の投資が盛んになるといわれている。また、これが、3000$ぐらいになると、高級車がどんどん売れ出す。実際、ベトナムに当てはめてみてみるとこれは、説得力のある見解だ。


  最近、外国人やベトナムの富裕層が住んでいるフーミンフンエリアにベトナム初のロッテマートがオープンした。







 
   


 ここは、開発当初は韓国人中心に発展した場所だ。






 
 
 
 



 地元の英字新聞で拾ったニュースだが、このロッテマート、3年でベトナム全土に30店舗展開する計画とのこと。


  一度足を運んでみたが、実際、ロッテマートでは、まだまだベトナムの庶民層では買えないような高額商品が多数きらびやかに陳列されていた。





 
 
 
 



 有名な時計や家具、一見、20年ぐらい前の日本の百貨店に近いものを感じた。この数年間に、富裕層が増えていくことを確信しての出店計画だと思われるが、伸びゆく国のパワーは、やはり凄いし、熱い。


  2009年1月1日から100%外資企業でも、貿易・小売ライセンスが取得できるように法律が改正された。自国の小売業の保護を考えれば、政府としても苦渋の決断だろうが、外資との壮絶な競争の中で、どんな形でベトナムの小売業が発展していくかを一緒に走りながら、見届けていきたいと思う。







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