アジアブログ

 

 
 

2009年4月6日 【ベトナム】
常識…日本VSベトナム

郷 康晴

 よく聞く“物語”です。

 以前、調査を受託させて頂いた某日系工場での話。


  そこの工場では、生産工程で使用する消耗品を、日本人管理者承認の上で、ベトナム人幹部社員の親族が運営する工場に生産を委託し、調達していました。ところが、弊社による調査の結果、その消耗品の価格が同業他社の約1.5倍である事が判明。 その事をベトナム人幹部社員に告げ、他社と同等の価格にするようお願いしたところ「親族が生活出来なくなるので、価格を下げることは出来ない。」との返答。


  彼の話ではこうです。 …10年前の設立当時、その消耗品はベトナム市場での流通が無かったため、海外から仕入れるより低価格である事を条件に当時の日本人社長から許可を得て“親族による生産供給”を開始した。 以来、原料価格はかなり上昇したが、当初と同価格で供給している。 だから価格について文句を言われる筋合いはない…


  よく聞く“物語”です。 しかしそれはあくまでも物語。真相は、「工場の設立当時、この幹部社員が来越間もない日本人社長に対し、その消耗品はベトナム市場では入手不可能と偽り、10年が経過し、激しく物価が上がった現在でも、十分利益を取れるような高値で、親族にその消耗品を提供させる約束を取り付け、現在に至る」という事です。


  弊社の調査結果では、この親族の経営する工場の販売先は現在もこの日系工場の1社のみ。 また、同製品は10年前のベトナム市場にも流通しており、当時の価格は現在の1/3以下。 工場の所在地も視察に行きましたが、住宅街の中に立派な一軒家と車が数台有るだけで、工場は見当たりません。


  彼の親族はその製品を他社より購入し、通常では考え辛い利益を乗せ、彼の勤務先である日系工場へ販売していた、という事です。


 この「自分の勤務する外資系企業で必要とする物品やサービスを親族に提供させ暴利を貪る」手法は彼らの常とう手段であり、現在までの弊社が調査を受託した外資系工場では、高確率で確認されています。


  この先、ベトナムへ進出をお考えの企業の皆様は、是非、現地社員の言葉を信用する前に、同等に会話が出来るだけのベトナム市場に関する知識を身に付ける事を推奨致します。




 


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