アジアブログ

 

 
 

2009年2月17日 【ベトナム】
大丈夫!だってお兄さん外国人でしょ。

郷 康晴

 ベトナム(ホーチミン市)で生活するようになり9年目に突入し、ベトナム語も普段の生活には全く支障がないのですが、それでも外国人であるが上に遭遇する出来事、題して「日常茶飯事in VIETNAM」から一つご紹介します。

 …初めて行った床屋での話。 私「9mmのバリカンで坊主頭にして下さい。」店員「はい、分かりました。」しかし手にしたバリカンにはどう見ても3mm位のアタッチメントが付いている。私「いや、それだと短すぎるよ、9mmにしてよ。」店員「大丈夫!何年この商売してると思ってるの?いいから座って!」手に櫛を取りながら自信満々に言うので、容易に道具が揃わない国での職人技を見せてもらえるのでは?と思い、私「…OK、でも本当に大丈夫?」店員「大丈夫!私はお客さんの顔を見ただけで何を求めているのか直ぐ分かる。試しに刈ってみて短すぎたらアタッチメント取り替えるから。」言いながら一発目に刈ったのは額の真上!私「あっ!」…間に合いませんでした。油断した私の負け、と諦め「短すぎだよ…もういい、この長さで揃えてよ。」と座っていると、何事も無かったように「洗顔は?耳掃除は?爪切りは?」と、お約束の営業攻撃。すっかり不機嫌な私は全てを断りいざ会計、
私「幾らですか?」
店員「5万ドンです。」
私「???さっきの客は散髪+洗髪+耳掃除で3万ドンでしょ? 私は散髪だけだから…」
店員「だってお兄さん外国人でしょ。」
…はぁ、またか。払いました、5万ドンだし…。道具、技術、使用言語もベトナム人へのサービスと一切変わらないのに。

  しかし一体ここの国民の何割が彼の様な思考回路なのだろうか? この話、プライベートの出来事で、金額も日本円にして200円が500円になっただけ。しかし、これがもし企業内の出来事だとしたら…。

  例えば、ここは某日系工場。月に1万個使用する部材を1,000JPY/個で日本から仕入れていたとします。経費削減業務の一環として今後ベトナムで調達する事になり、複数の現地企業から見積もりを入手した結果、約500JPY/個で入手が可能である事が判明。経費の削減という視点で見ると50%の削減に成功した事になります。しかし、実際の価格は200JPY/個だったとしたら? 見積もりを入手するのは間違いなく日本からの仕入れ価格を知っている現地人社員であり、日本人管理者が納得する価格を心得ているわけです。

  私が日常生活で遭遇する「日常茶飯事in VIETNAM」は間違いなく「日常茶飯事in外資系工場」でもあります。私の経験からいくと、見積もりを入手し日本人管理者から「よくやった!」と絶賛されている購買担当者が毎日仕事もせず、こそこそと電卓をたたいている姿が容易に想像できます。


 


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