アジアブログ

 

 

2013年2月18日 【アジア全般】
ローカル都市のグローバルビジネス



ブレインワークスグループ CEO 
近藤 昇



東日本大震災のあった2011年、
日本に渡航する外国人数は減少した。
原発事故への警戒、放射能汚染の危惧が大半の理由だろう。
震災の際、私はアジア人経営者の友人から多数の連絡をもらっていた。
彼らは皆、弊社のオフィスが東京にあることを知っている。
文面には「東京は大丈夫か?」とある。
東北で起きた放射能事故や津波現象を
海外の人々は東京における災害だと思いこんでいるのである。
私はこの時にもアジアにおける日本の存在感の薄さと危機感を強く感じた。



日本の魅力は日本にある。
本物はやはり本国で体感してもらうことが最も良い。
歴史的建造物、着物の体験、伝統工芸の体験、
日本の美しい自然の観察、都市整備の様子。
私たちが現地で行う物産館やJAPAN STYLE Shopの事業は
あくまで認知が本義的なものである。
本当にこの文化や街を見たいと思わせる興味付けをするためのものだ。
すでに日本へ観光で訪れる外国人の方は多いが、
彼らがもう一度来たいとか、もっと他の都市も見たい、
もっと日本のことを知りたいと思わせる仕組みやPRを行うことも
立派なビジネスである。



こうした実績作りの一環となっているのが、
弊社が経済産業省のクールジャパン戦略事業のもと運営する
ホーチミンにおける「日本物産館」である。
現在、この事業は省庁、北海道、徳島県といった県と連携している。
今後は、他の都道府県の物産も取り揃えていく予定だ。



例えば、神戸牛などの地域の特産品や土産物を
アジアで展示・販売することで、日本の観光地や日本の地域活性化活動、
観光地ビジネスなどの認知を喚起する活動をさらに発展させていきたい。



ご存じの方はまだ少ないと思うが、
日本とアジアはすでに第一次産業でつながっている。
マグロで有名な静岡県の焼津には
ベトナムで捕れた東シナ海の魚介類が輸入されている。
反対に、ベトナムでは北海道の根室産のサンマが輸入されている。
現地ではすでに「脂ののった美味しいサンマといえば日本の根室」
になっている。
ブランドや認知というものはこうした身近な接点から始まると思っている。
日本の地方には地方の発展の仕方がある、
その手段のひとつとして、アジアとの接点という選択肢を
考えてもらいたい。


 



 


これからはますます日本の地方都市とアジアとのつながりに期待している。
例えば、震災で大きなダメージを受けた東北地方は
第一次産業が主産業というアジア各国との共通点がある。
日本の農業技術もまた、アジアからの期待の目を向けられている。
アジアの経営者も、実際に農業に従事している人々も、
日本の技術を求めている。



日本ではあまり知られていないアジアの地方都市は、
日本の中堅都市のイメージである。
ベトナムやタイには農村地帯が多く、
こうした都市と日本の農業の提携には十分に可能性がある。
農業分野では、お付き合いのある神戸の女性社長が
カンボジアで農業や牛の飼育を始めている。



アジアとの関わり方は何をもってアジアと提携するかで
選択肢はさまざまに広がる。
私たちは中小企業の支援業という立ち位置から、
同様に日本の地方とアジアを繋ぐ活動を
意欲的に取り組みたいと考えている。

 

  


  


※本ブログは、弊社発刊書籍『だから中小企業のアジアビジネスは失敗する』より
 一部抜粋しています。



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