アジアブログ

 

 

2012年9月6日 【アジア全般】
アジアビジネスに見る日韓の関係性

ブレインワークスグループ CEO 
近藤 昇




またまた、日韓で好ましくない話題が沸騰している。
私は評論家ではないので、
政治レベルの問題はとりあえず置いておいて
ビジネス目線で日韓の関係性などを考えてみる。



日本の物産館をベトナムに展開する当社のプロジェクトが、
経済産業省のクールジャパンに採択された。
ベトナムの最大都市ホーチミンで、
当社が運営するジャパンスタイルシッョプと連携する形での事業だ。
今は、その準備を着々と進めている。
“知らざれる日本”をアジアに伝え、広めることで、
日本のプレゼンスを高めようという主旨で、この秋から運営が始まる。
実は、このプロジェクトの舞台はホーチミンの中心から
車で15分程度の新興エリア。
台湾系の企業が手がけている
新都市開発が急ピッチで進むフーミーフンである。
この場所は約10年以上前から開発が始まり、
特にここ数年間の変貌は驚くものがある。



昨年、経済誌「東洋経済」では<東洋のビバリーヒルズ>と記事の中で
紹介されたほど、富裕層が結集しているところだ。
実は、この街のもうひとつの顔は、韓国人の街という点。
実際に住民の大半は、ベトナム人を除くと韓国人が圧倒している。
街をほんの30分ほどぐるっと巡っただけでそれは実感できる。
あちこちにハングル文字の店が立ち並ぶ。
レストランはいうまでもなく、
コンビニ、歯医者、不動産屋にマッサージ店。
生活に必要なものは大抵揃っている。
現地の人がそう呼んでいるかどうかわからないが、
私たち日本人から見たら、まさしくコリアンタウンだ。

 



 



当社は、この場所でジャパンスタイルの浸透にチャレンジしている。
とはいえ、この構図は特段珍しいことではなく、
アジアの主要都市では大体似通っている。
それだけアジアの至る所で韓国パワーが席巻しているのである。



アジアビジネスで各国を巡っていると、
温度差は多少あれ、韓国に対する評判の大筋が見えてくる。
まず、消費者視点で言うと、
コリアンのファンは日本のファンより圧倒的に多い。
この差はどこから生まれたのだろうか?
正直、日本人の私から見ても韓国の商品、
サービスなどが優れているものは少なからずある。
だが、この圧倒的浸透度の源泉は何か?
それは韓国のことを韓国人たちが徹底的に伝えたからだといえる。
巧みなプロモーションはいうまでもなく、オールコリアンで、
韓国の存在を知らせ、伝え、広める努力を徹底したからだと実感する。



では、ビジネスはどうだろうか?
存在感では、こちらでも圧倒している。
日本がすでにビジネスで韓国などに出遅れているのは周知の事実。
昨年ぐらいから日本でも進出が闊達にはなってきた。
しかし、まだまだ、話題のみで終わっている。
経営者仲間でも会話のネタの上位に登場するようになったが、
実際に動くかとなると、率直に大部分が今は様子見である。



「そんなんだから、韓国などに先んじられるんですよ」



こちらがいくら力説しても響かない。
日本は下り坂とはいえ、経済力は実質、今でも世界でトップクラスだし、
そもそも現時点でも世界で有数のマーケットが国内にある。
先行きを考えたら、非常に不安先行、心許なくても、だ。
現時点でも、韓国より余裕があるのは間違いない。



出遅れた日本企業が活躍する手ががりはなんだろうか?
それは、アジアの経営者、商売人のこの一言に集約される。



「ビジネスは日本としたい」



このような言葉は、ベトナ以外の国でもよく聞いた。
カンボシア、ミャンマー、ラオスでも。
交渉ベタだと世界では言われる日本。
だが、それは弱点でもあるが強みでもある。
品の良い、行儀の良いビジネスができるのが日本。
(もっとも、例外の経営者もいる。こんな人はアジアには来てほしくないが)
総じて日本の経営者は、本気でウィン・ウィンが考えられるし、
実践できる方が多い。



金儲けだけの時代は終わり、特に世界が注目するアジア、
とりわけ東南アジアで日本がどんな経営やビジネスをしていくのか?
これは、今後の日本の存在感を世界に示す絶好のチャンスだ。
正直、韓国勢のバイタリティ、行動力、展開力、
プレゼン力などには感心する部分が多い。
日本の商売の真似をして成功している経営者も多い。
ビジネスセンスは見習わなければとも思う。
だが、日本は同じ土俵で勝負するのではなく、
それこそ経営品質重視で勝負すればよい。
私はこんな展開を頭に描いている。



そのためにも、今こそ日本勢が一枚岩になり、
オールジャパンで進むのがベストな選択だと考えている。




 








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