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2011年3月31日 【ベトナム】
星越ベトナムレポート 第7巻

村上 博治



1か月の経済の動き

 

この度の東北関東大震災の被災者の皆さま、そのご家族の方、関係者の方々に心よりお見舞い申し上げます。


① 世界経済


  3月11日に発生した東北関東大地震の影響をうけて世界同時株安が起こるなど、今月は経済が混乱した月でした。一時のような混乱は収束しつつありますが、東北の工場が被災したためにアメリカやEUの製造業が影響を受けるなど、ある程度の停滞はまぬがれないのでしょう。また、バーレーンの非常事態宣言、シリアでの大規模デモ、リビアでは多国籍軍による攻撃など中東情勢が緊迫しています。こうした情勢が長期化すると原油が高止まりし、景気に悪影響を及ぼしかねません。何だか明るいニュースがないのが残念です。

 

 

② ベトナム経済


  先月も軽くお伝えしましたが、2月11日に国家銀行は噂されていたドンの対ドルに対する基準レートの切り下げを行いました(1 $=18,932 ドンから約 9.3%切下げ、20,693ドンとすると公表)。ただし、切り下げ後も闇市場レートとの乖離は続き、3 月上旬では闇市場レートが 22,000 ドン前後との報道があります。
  また2月24日に政府はマクロ経済安定に関する政府決議第 11 号を公布しましたので、来月詳しくレポートいたします。

 

 

③ 今月の話題


 震災後これからの為替、株等(特に東電)の質問がよくありますので、今号ではそれについてお答えしたいと思います。
  当社が3号レポートで推奨しました薬王堂(3385)は大変良いパフォーマンスでしたが今回の震災の被害を受け急落しました。これから日本全体への影響、個別企業の業績影響が判明するまで、マーケットは流動的になります。いずれにしてもどれだけネガティブなのか、格付けはどうなるかによりますが、東電はこのままでは生き残れないでしょう。おそらく一時国有化の可能性大です。そうすると100%減資で既存株主の権利はなくなりますので、投資はお勧めできません。ただそれまでかなりの時間がかかりますので、さや取りを狙った投機的動きは、当面続きます。
  為替ですが、円安トレンドに入っていくと思います。政府、企業の海外債権売却の可能性もありますが、それよりも個人的にはこの国難は国債発行のニューディールで乗り切るべきと考えております。

 

 

④ 星越ベトナムファンド


  ベトナムマーケットは弱含みの展開となっております。日本からの投資減少、日本への輸出減少の影響も出てくると思います。
下押しした場面では、ぜひ買っていきたいと思ってます。

 




 

各国震災報道

今号は震災発生後から様々な国でなされた報道を少しピックアップしてみたいと思います。日本は地震、津波、原発被害をライブで報道しましたが、各国はどのように伝えたのかまとめてみました。

1 米国:CNN,ABCともに独自性を持って報道していました。最初はライブとはいきませんでしたが、すぐに津波の被害をどこよりも大きく伝え、又原発についても日本に同情的、かつ科学的でした。

2 ドイツ、フランス:地震、津波よりも原発の報道が過熱しています。最悪ケースのみの報道に近く、すでに東京まで汚染都市的報道がありました。これではドイツ人、フランス人がすぐにいなくなるのもわかります。ドイツ在住の知り合いは大変心配したようです。

3 香港他中華系:日本や他国の報道機関は死者の写真報道を控えていましたが、海辺の死体写真を出すなど、かなり無神経な報道でした。

さてベトナムですが、独自報道はほとんどなく、ロイター、NHK配信を使っていました。隣国であるにもかかわらず、中華系を使わないのは良心的といえるのではないかと思います。

 

 



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