アジアブログ

 

 
 

2011年5月31日 【ベトナム】
星越ベトナムレポート 第9巻

村上 博治



1か月の経済の動き

 

① 世界経済


今月は日本だけではなく、世界的に経済においていいニュースを聞かなかったような気がします。S&Pによるイタリア国債の格付け引下げの見通し、スペイン地方選挙における与党の大敗、債務再編懸念がいつまでも消えないギリシャ、1-3 月期のGDP(改定値)が速報値から訂正されず、市場の予想に届かなかったアメリカ・・・。特にいつまでも欧州重債務国に対する懸念が燻ぶるのが気になります。
  そして、来月は2011年3月期の決算で今期の業績予想が出ていない(出せなかった)企業の動向に注目です。

 

 

② ベトナム経済


ベトナムについてのコラムでも触れていますが、厳しいインフレが経済に大きな影響を与えています。4 月の消費者物価指数上昇率は対前月比 3.32%増と前月に続き大幅な上昇となり、4 月の対前月比の数値としては、 近年で最も高い水準となりました。これは対前年末比で9.64%の上昇となりますので、前号でお伝えした年初の政府の目標である7%以下を既に超過しています。
  フック計画投資大臣より 2011 年の消費者物価指数上昇率を前年と同水準(年率で 11.75%)に修正する発言があったようですが、これも達成は難しいのではないかと現時点では思われます。

 

 

③ 今月の話題


 世界の商品、為替、株のマーケットで話題になっているのは、米中の景気後退ではないでしょうか。米は先進国の代表、中は新興国の代表ですので、この二国の景気後退となりますと世界的な景気後退かと思ってしまいます。あふれているマネーは、リスク軽減の点から、商品、株、不動産から逃げています。ベトナム株の下げもこの流れのなかでしょう。 日本株も注意が必要です。では、このマネーはどこに行くのでしょうか?ソブリン債へ行くと考えますと、流動性があって、安定しているもの、ドイツ、日本国債でしょうか。すると円高は続く可能性があります。この流れが変わるためには米国の景気回復(米ドルの回復)しかありません。ただ気になりますのは世界最大の債券ファンドが、すべて米国債を売ったとの事。いやな感じがします。

 

 

④ 星越ベトナムファンド


 今月下旬のマーケットは大変激しいものでした。指数は3割近く短期間で下げました。特にハノイ株指数は上場来の安値を更新してまだ戻っていません。ファンドとしましては何とか1割程度の評価損で止まっています。純分なキャシュがありますので、ここで割安銘柄に投資をしております。ただ中期的には現在のインフレがおさまらないと上昇基調にはならないでしょう。

 




 

ベトナム街角レポート

震災後の日本に一時帰国しますと、この夏の電力事情の話題や原発の今後、日本経済の先行きの不安等明るいニュースはありません。


一方ベトナムはというと、当地も厳しいインフレが続き、高金利の中、経済の先行きに暗雲が立ち込めています。しかしながら国民はたくましく、インフレへの便乗値上げで対応しています。私が気づいたものをいくつか挙げてみます。①空港タクシー:半年ぐらいで我が家から空港まで18万ドン→20万ドン→25万ドンと値段が駆け上がりました。②近所の自転車の空気入れ:4千ドン→5千ドン→6千ドンになりました(3か月で)。自転車の空気を入れに行くたびに店の親父が笑いながら上がった値段をつげてきました。③近所のカフェ近くの自転車置場:以前はどこにおいてもただでしたが、最近番人のお兄さんから1千ドン要求されました。しかもカフェはアイスティーが15千ドン→20千ドンへといきなりの値上げ。④空港の水:13千ドン→15千ドン→17千ドン(これは意味がわかりません。地元のスーパーは値上げしていませんし。)皆さんも変な便乗値上げに気づいていましたらぜひ教えてください。

 

 



著作権について

本サイト内の記事、コンテンツ類の無断転載、複製および転送を禁じます。このような運営の妨げになる行為に関しては、損害賠償を求めることがあります。