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2011年4月30日 【ベトナム】
星越ベトナムレポート 第8巻

村上 博治



1か月の経済の動き

 

① 世界経済


  米国では企業業績が予想を上回る好調を示しており、今後も良好に推移すると予想されます。一方欧州の動向は注意が必要です。今週の欧州統計局の発表によると、2010 年の財政収支報告では、ギリシャやポルトガルなど重債務国の財政再建が想定よりも難航していることが明らかとなったからです。特にポルトガルでは、EU・IMFの金融支援を前提とした財政再建計画を5月半ばまでに策定する必要がありますが超党派で行わなければならないため、政治情勢次第では市場の懸念が悪化する可能性があります。

 

 

② ベトナム経済


  政府はインフレ抑制・マクロ経済の安定・社会保障の強化を目標とした政府決議第 11 号を公布しました。決議の内容は①金融政策引き締め、②財政政策の引き締め、公共投資・財政赤字の削減、③生産活動の促進・輸出促進による貿易赤字の削減及びエネルギー利用、④貧困層に配慮した電力・燃料価格の調整などかなりまともな内容でした。後はこれを実行するだけですが、どこまでインフレを抑えることができるのかが今後のキーとなります(弊社も大家から家賃の大幅な上昇を告げられるなどインフレを実感しております)。

 

 

③ 今月の話題


  震災後の日本のマーケットについてよく質問をいただくことがありますのでお答えしたいと思います。

1、なぜ円安にならないのか と 2、なぜ日本株が強いのか です。

まず1についてですが、現在対米ドルで円高が続いているのは日本の経済停滞がどの程度かまだわからない中で、米ドルが売られているのが原因です。米ドル以外には円も安値傾向になっています。次に、2についてですが、低金利で米ドルを調達したファンドが目先の下げで日本株を買ったのが大きな要因の1つです。しかし、投資は気をつけるべきです。特に震災の影響が大きすぎて来季の予想が出せない企業への投資は要注意です。

 

 

④ 星越ベトナムファンド


  最近ベトナムマーケットに不思議な動きがあります。ハノイ指数は上場以来の安値圏にあるのですが、ホーチミン指数が安定しているのです。おそらくETF(ホーチミン指数連動)が一部の時価総額の大きな企業に資金を入れていることが原因でしょう。資金の入ってない他の企業は上場来の安値です。もし今時価総額の大きな国営企業が上場したら、資金はそこへ移ります。これは株価操縦に近いのでは…。当ファンドはインフレと金利が落ち着いてから、インフラ関連に買いを入れたいと思います。

 




 

震災復興への提言。

日本では大震災からの復興プランの議論が進み始めておりますが、具体性やスピード感がありません。そこで私なりのプランを提案します。


①現在の政府組織とは独立した復興庁の新設。復興庁のトップには現役の政治家でない実務家で、職員は世界で公募します。土木、港湾、原子力、水産、建築、都市計画、財務等のエキスパートを円高を武器に募集し過去にしがらみのない実務軍団をつくります。そのマネージには各省庁のキャリア官僚を当てます。予算はすべて国債を発行し、必要であれば日銀に買い取らせます。各地域に支部を置き、支部ごとにスピード感を持って実務をこなします。もちろん一番重要なのは福島支部です(現在の復興会議では原発の議論をはずしています。)。ただし国民がこの復興庁に権限を与える事が重要です。


②原発内部突入部隊の編成と訓練を行う。外人混成部隊でも結構です。お金と健康ケアを保証して上げれば、世界中で人は集まります。


③何もわからない政治家は中心から外れてもらいます。すでに東電だけの一企業の対応を超えたところに来ています。確かに暴論に近いかもしれません。しかしこの非常事態に財源確保を考えるよりお札を刷ることを考えるべきではないでしょうか。

 

 



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