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2010年10月19日 【ベトナム】
出たとこ勝負?

Brain Works Asia co.,Ltd
田口 秀一

現在、私達はある仕事のためにレンタルオフィスを借りている。
先日、そのレンタルオフィスで業務を開始するための準備をしていたときのことである。


レンタルオフィスといっても、机もイスもなく、電気工事も借り手側がしなければならない。
私は、業者を手配し、机やイスなどの什器類やPCを設置するための電気工事を進めていた。
なお、電気工事はレンタルオフィス会社側経由での手配である。


そんなある日のことである。


発注していた机が到着した。しかし、まだ電気工事が残っていたため、
部屋の中に仮置きし、電気工事完了後に定位置に置くこととした。
電気工事の実施予定は翌日である。


そして、翌日の夕方、そろそろかと思いオフィスにいってみると…
電気工事はまだ実施中である。まあ、それはいい。
私が溜息をつきたくなったのは、電気工事業者の足場についてである。


天井裏の配線工事をしている彼らが足場にしているのは、
昨日、私達が搬入したばかりの机である。
机の上に立って、天井のボードを開け、天井裏の配線を通しているのだ。


周囲を見回しても脚立などはなく、
そもそも足場にしようとして何かを持ってきた様子もない。


一体、この机がなかったら、彼らはどうやって作業するつもりだったのか?
私は疑問に思う。


さらに、彼らは養生も何もせず、裸足で机の上に立っている。
机や床の上が埃になっていたのだが、ほうきや塵取り、
雑巾などの掃除道具も持っていなさそうだ。


私達は、持参した雑巾で机を拭き、定位置に並べていった。
彼らはそれを、時折、チラッと見るが、手伝おうとする様子はない。
私は通訳と一緒にいるので、彼らが話しかけようと思えば話しかけられる。


そして電気工事終了。
彼らは自分達の作業道具だけを持ち、何ごともなかったかのように立ち去った。


これは現在のベトナムの業者の標準的なレベルといえる。
要するに、作業で何が必要かなど、まず事前確認しないし、
自分達の作業さえ終われば、掃除もせずに帰る。
仮にしたとしても、後でこちらが再度、掃除しなければならないようなレベルだ。


とにかく、準備不足であり、おおざっぱなのである。
とりあえず現場に行ってみて、それから考えるのである。


私は以前に、設備工事の現場監督をしていた経験があるが、
普通は現場に行く前に、現場の状況を確認するものである。
その上で、脚立や足場、道具、養生など、必要な物を準備してから現場に行く。


ベトナムではそれがなく、まさに出たとこ勝負なのだ。
そして、来てみて無理だったら、今日はできないので翌日、となる。
こちらの計画が狂うだけでなく、業者側も無駄が多いはずなのだが…。


こういう事例は他にも多くある。


エアコンの修理業者が脚立を持ってこず、作業場所に手が届かなかった。


冊子の印刷を依頼した業者が納品物の冊子を持ってきた際、台車を持ってこず、
1人で運べないというので社員が手伝った。


内装工事の業者が養生もせずに作業した結果、辺り一体が埃だらけになり、
掃除道具を持っていないので掃除機を貸してくれと要求してきた。


引越しの運送業者が、弊社内に設置してある水を好きなだけ飲む。


どれも、日本であれば即クレームになる行為だ。
準備もせず、一体何をしに来たんだと。


現地調達すればいい、人に借りればいい、という「何でも共有物」的な考え方は、
社会主義国ならではなのだろうか。
しかし、経済が発展し、多くの外資企業が進出し、競争も激化してきている現在、
ローカル業者といえども、ビジネスのレベルを上げていく必要がある。


弊社では、現状に危機感を持ち、日本や先進国のビジネスのレベルや
仕事の仕方を教えてほしいというローカル企業の支援を数多く行っている。
近い未来、私達が支援した企業が力をつけ、
他社に大きな差をつけて抜け出していくことを確信している。



 




 


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